総務省は、今年の夏から開始が予定されている4K/8K試験放送を実施する事業者として、NHKと、次世代放送推進フォーラム(NexTV-F)を認定することを明らかにしました。試験放送の開始はNHKが8月1日、NexTV-Fが12月1日となっています。
オリンピックの8K中継ギリギリ間に合う!?
NHKは8月1日より、8K(スーパーハイビジョン)での試験放送実施を予定しているため、8/5から開催されるリオデジャネイロオリンピック・パラリンピックにギリギリ間に合うスケジュールとなっています。
現時点では8Kテレビはもちろんのこと、8K試験放送に対応するチューナーもないため、オリンピックの8K放送は前回のオリンピック同様にパブリックビューイングでの視聴が主な内容になると想定されます。
試験放送はBS 17chにてスタート
4K8K試験放送は、当初の予定通りBS衛星セーフティネット終了に伴う空き周波数BS 17ch(12.03436GHz)を利用して実施されます。
試験放送は「周波数分割」または「時分割方式」での放送
NHKとNexTV-Fが共同にてBS 17chを使用するため、放送は周波数分割または時分割方式にて放送が実施されます。今回、総務省より放送認可が出たBS 17chでの試験放送については、4Kであれば同時に3ch、8K(スーパーハイビジョン)であれば1chの放送が可能となっています。
放送スケジュール案
NHK及びNexTV-Fが提案している4K8K試験放送における週間放送番組例によると、試験放送は朝10時~17時までの1日あたり7時間編成となっています。
8月1日より試験放送を開始するNHKは、8K(スーパーハイビジョン)での試験放送を中心に行ない、4K放送は月の最終週の16時台に、ひと月あたり6時間程度実施。
一方、NexTV-Fは4K放送が中心となり、毎週月曜日には8K放送(10分程度?)も実施するという編成計画となっています。
視聴には対応チューナーが必要
CSデジタルでは、すでにスカパー!4KやChannel 4Kを実施しているので4Kチューナーが発売されいます。しかし、BSデジタル放送での4K放送は、本試験放送が最初の放送となるため、現状対応チューナーは発売されておらず、視聴する手段がないのが現状です。
昨年の日本最大の放送機器展である「InterBEE2015」の聞いた限りでも、試験放送対応チューナー開発を行って企業はなく(当時はまだ仕様が公開されていなかったため)、メーカー側も間に合わないだろうと発言していました。
昨年の12月に技術仕様が公開となったので、今年の夏~秋ごろには登場してくるのではないかと想定しています。
今年から始まる試験放送はBS 17chを使用するため、現状のBSアンテナ等で対応出来ますが、2018年から開始が予定されているBS(左旋)での4K/8K放送については、別途対応アンテナが必要となります。詳しくはこちらを参照下さい。
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放送設備はNHKの設備を使用
4K/8K試験放送に必要な放送設備については、すべてNHKの設備にて実施するようです。NexTV-Fは独自で放送設備は持たず、NHKの放送設備を借用するとなっています。
NexTV-Fの8K機材は、東京・渋谷のにあるNHKの子会社「NHKメディアテクノロジー」内にあり、NHKとNextV-Fは試験放送の認定事業者として別ではありますが、試験放送自体は2者の共同運用となりそうです。
まとめ
ようやく、試験放送の事業者が発表されました。しかし、決定がこのタイミングでは、恐らく夏までに対応チューナーの発売は厳しいでしょう。そのため、今年のオリンピックを一般の人が4Kテレビで見れる可能性は非常に低いと思われます。
何とか8K放送は間に合うスケジュールとなっていますが、対応するテレビもない・チューナーもないでは、これまでのオリンピック時にイベントとして開催されていたパブリックビューイングでの視聴が想定されるため、ホントにこれで試験放送が間に合ったか?と言われると疑問です。
2017年には110度CSでの新たな4K試験放送開始が予定されているので、テレビや対応チューナーの購入については当面慎重に選択する必要がありそうです。
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