NTT、8K/60p対応HEVCリアルタイムエンコーダを開発

  • 2016年2月20日
  • 2018年10月15日
  • 8Kとは
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2月15日、日本電信電話株式会社(以下NTT)は、8K/60p対応HEVCリアルタイムエンコーダを開発したと発表しました。今回の新開発エンコーダは、2015年3月に発表された4K/60p映像対応HEVCリアルタイムエンコード処理が可能なLSI「NARA」が4チップ使用されており、4チップを連携動作させることによって8K/60p対応可能となったようです。

エンコーダ構成概要

分割境界問題をクリアし、8K/60pを85Mbpsにてリアルタイムエンコードが可能

今回開発された新エンコーダは、画面分割による並列エンコード方式を採用しています。8K映像を上下左右に4分割するのではなく、横長の4つの映像に分割を行います。

分割された映像を4K映像相当の処理能力を持つHEVCエンコーダLSI「NARA」(チップ)で並列にエンコード処理を行います。映像を分割し、平行処理する技術・エンコーダはこれまでにもNHK技術研究所で紹介されてきました。

しかし、単に映像を分割し、平行処理を行うだけでは、分割された映像間の最適化が行われないため、各映像同士の最適化が異なり、分割された箇所が境界線のようにわかってしまう課題がありました。

今回発表された新エンコーダでは、4チップ間で参照画像を相互に転送し、分割境界を跨ぐ動きに対応したエンコード処理を行うことによって分割境界が発生しないようになっています。
また、分割境界を跨ぐ平滑化フィルタ処理や分割画像間の画質を均一化する符号量制御処理についても、分割処理を行っているチップ間のデータ転送を実施。

これらの処理により、高い符号化効率と高画質を維持しながらリアルタイムエンコードを実現しています。エンコードのビットレートは約85Mbpsを実現しており、今年の8月からNHKが実施する8K放送に対応可能(試験放送は1chあたり最大100Mbps)となっています。

専用LSI「NARA」4チップは1ボード実装、データ転送にはPCIeバスを採用

 

新エンコーダは、専用LSI「NARA」4チップ及び周辺回路の搭載を1ボードで実現しています。各チップ間の相互データ転送には、独自実装ではなくPCIeバスを採用しており経済性にも配慮がされております。

4チップが搭載された1ボードの装置サイズは、19インチラックサイズの横幅で5U程度で実現可能とのこと。このサイズであれば、中継車等に搭載することも可能です。

まとめ

昨年、4K/60p対応HEVCリアルタイムエンコーダが発表されたばかりですが、1年もたたずに8K/60p対応HEVCリアルタイムエンコーダが発表されました。今回の製品はまだ4K/60p対応LSIを4チップ並列対応となっていますが、近い将来には1チップ対応LSIが登場するでしょう。

私が4K/8Kに関わり始めた時は、まだリアルタイム処理可能な4K/8K対応エンコーダはなく、2008年に発売されたNTT-ATの「JPEG 2000 リアルタイムコーデック」が最初です。

このエンコーダを使って、米アカデミーや海外の4K映像に対応しているポストプロダクションと4K映像でのテレビ会議を何度もさせて頂きました。商用の機器ではありましたが、当時はいろいろとトラブルがあり、テレビ会議が中断することも何度かあったのも今ではよい思い出です。

今回のようなリアルタイム処理可能なエンコーダの小型化・低コストが8K放送普及のカギとなりそうです。

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