
2015年11月12日・13日の2日間、東京・渋谷ヒカリエにて、放送・メディア業界関係者向けに、2013年度NHKサッカー放送テーマ曲「Aoi」のMVを用いた8Kx3Dx22.2ch立体音響という最新の技術を集めた映像作品「Aoi −碧− サカナクション」が上映されました。
残念ながら、この上映会は関係者向けだったため、見ることはできなかったのですが、昨年のInterBEE2014にて実際に「8Kx3Dx22.2ch立体音響」を体験しました。その時の興奮と感想を交えながら今回はこの上映会にて使用された8Kx3Dという技術について紹介したいと思います。
当日の上映概要

「Aoi −碧− サカナクション」はヒカリエ内に特設された250型スクリーンにて上映されました。投影に使用されたプロジェクタはJVCの8K対応プロジェクタ(DLA-VS4800)2台。偏向3Dメガネをかけることで立体的に視聴が可能です。
8Kの映像は120pではなく、8K/60pだったようです。また、特設会場にはレーザー照明が用意されており、実際のライブを間近で観ているような臨場感を味わえる内容となっていた模様。
この映像作品はNHKメディアテクノロジー(NHK MT)とNHKエンタープライズが共同で制作を行っています。8K/3D等の技術的な部分はNHK メディアテクノロジーが担当しています。
8K×3Dとは

「8K×3D」とはNHKメディアテクノロジー社が世界で初めて実現した撮影技術です。その技術を用いて昨年「WISH」というピエロと少女の不思議な世界を描いた4分間のファンタジーが制作されました。作品としてはこの「WISH」が世界初の8K×3D作品となっています。
同作品はNHKメディアテクノロジーの設立30周年を記念して2014年に制作された作品です。4分という短編作品ではありますが、編集に要した時間はなんと2週間。編集は同社の高精細編集室「BLAZE」にて実施されました。
8K×3D撮影

8K×3D撮影には「ビームスプリッター」と3Dリグを8K用に改造して、アストロデザイン社製8Kカメラを2台搭載して実施されました。2台必要な理由は、L,Rつまり、右目用と左目用のそれぞれの映像を同時に撮影する必要があるからです。
このような方式は2眼識3D撮影方法と呼ばれています。イメージとしては双眼鏡のように左右並んでいるだけですが、2台のカメラの距離で立体感が異なってくるため、思い通りの映像を作るためにはかなりの調整が必要です。
また、今回の作品について編集期間が2週間とかなり長いです。これは8Kという超高精細にもなると、左右のズレを補正・調整がまだリアルタイムで実施できないため、設定を変更しては処理を行い・その後結果を確認するという手法しかいまのところ実現出来ないためでもあります。
このあたりは今後、コンピュータの進化でいずれリアルタイムに処理することが可能になると思われます。現時点では力技で頑張って3D用に合成しているのが実情です。
まとめ
8K☓3D☓22.2ch立体音響にて制作された作品は、テーマパークで体感するどんなアトラクションより楽しいです。何せ最先端の技術を集めて作った映像ですから楽しめない訳がない。
今回のサカナクション作品は放送・メディア関係者向けでしたが、これまでのNHKの傾向で行くと来年あたりにどこかのイベントで体験出来る機会があると思います。
その際はまた当サイトで告知して皆さまにお伝えしようと思います。
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