脅威の22.2chマルチチャンネル音響、8K(スーパーハイビジョン)がすごいのは画質だけじゃない!

  • 2015年12月20日
  • 2018年10月17日
  • 8Kとは
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来年、2016年から試験放送が実施される8K(スーパーハイビジョン)は現在のフルハイビジョンの16倍の解像度(横:7,680×縦:4,320)をもつ超高精細な次世代放送です。この8K、何かと画質ばかりに注目が集まっていますが、実は音響面も画質にひけをとらない仕様となっています。

8K(スーパーハイビジョン)の歴史:8Kはどうやってできたのか

8Kでのフルスペック音響はなんと22.2chマルチチャンネル音響

一般的な家庭用に音響システムは5.1ch/6.1ch/7.1chぐらいでしょう。しかも映画や音楽ライブ等をメインに楽しむ人しか持っていないのではないかと思います、ちなみに我が家にはサラウンドシステムは一切持っていませんが、学生時代に音響メーカー数社でバイトをしていた関係でかなり詳しくなってしまいました。お客さんがいない時間帯に様々な音響システムで音質や臨場感などの違いを聞き比べていました。

家庭向けのサラウンド規格はいくつかありますが、有名なのはドルビー研究所の「ドルビー・デジタル」や、デジタル・シアター・システムズの「dts」、ジョージ・ルーカス監督のルーカス・フィルムが作った「THX」規格の3つだと思います。その他にもいくつかありますが、ここでは省略させて頂きます。

これらのサラウンドシステムは5.1ch~7.1ch(各チャンネルスピーカー数個+重低音再生用ウーハー0.1ch)構成となっています。この数のスピーカーを置くだけでも一般のリビングでは大変ですが、8Kのフルスペック音響は3倍以上のスピーカーが必要な22.2chマルチチャンネルオン音響(以下22.2chサラウンド)となっています。

では、一体どんな仕組みかを次に図を使って解説します。

22.2chマルチチャンネルスペック

22.2ch配置図
出典:「8Kスーパーハイビジョン音響制作システムの開発と標準化動向」
配置表
出典:「8Kスーパーハイビジョン音響制作システムの開発と標準化動向」

 

家庭用のサラウンドシステムは、基本的に視聴者を音で包み込むという概念はありますが、異なる高さを区分して配置するというコンセプトはありません。しかし、22.2chサラウンドには、聴取者の聴取高さを3層に分けてスピーカーを配置する仕組みになっています。

天井面に位置する上層(9ch)、聴取者の高さの中層(10ch)、床面に位置する下層(3ch)の計3層(22ch)の配置となっています。また、前方の左右に重低音のウーハーが2個(0.2ch)あり、合計して22.2chサラウンドのシステムとなっています。

サンプリング周波数:48kHz、96kHz(オプション)

量子化ビット数  :16bit、20bit、24bit

圧縮方式     :MPEG-4 AAC、MPEG-4 ALS(Audio Lossless Coding)

この22.2chサラウンドで聞く音響とは

NHK技術研究所やパブリックビューイング等で何度かこの音響システムで8Kと共に体感したことがありますが、それはもう異次元の世界です。すでに聞くではなく、「体感」と書いたのは映画館以上に音に包み込まれる感覚を覚えました。かなり実際の場所にいるに近い体感を得ることが可能です。

けれど・・・これ、家庭用に頑張って開発しても設置出来る人はほとんどいないと思いました。たぶん、聞かなくてもスピーカーの数を聞いただけで???という感じになり、家族がいる家では速攻でNGになるに違いありません。それぐらい場違いな迫力と大がかりな音響システムでした。

どうして22.2chなんて途方もないサラウンドシステムになったのか?

一言にすると、「8Kに相応しい妥協のない音響を求めたらこうなった」に尽きるでしょう。さすがにこの一言ではずいぶん乱暴ですが、実際そんなもんなんです。

8Kは水扁面での映像視野角が100度となっており、普通に見ると映像に包み込まれているような臨場感が体感出来ます。映像が包み込むような臨場感が実現しているのであれば、音響もそうするべきだと開発が行われました。

具体的にはITU-Rの勧告BS.1909にて規定されている以下の6項目を満たすことを目標に開発が行われました。

  1. 聴取位置を取り囲む全方向からの音のの到来が再現出来ること
  2. 5.1ch音響を超えた3次元音響空間印象(包み込まれた感覚)を再現出来ること
  3. 画面上の任意の位置での映像と音像の方向が一致すること
  4. 広い視聴範囲を持つこと
  5. 既存のマルチチャンネル音響方式との後方互換性を有すること
  6. ライブ収音及び生伝送が出来ること

8Kを究極のテレビって言いたいために頑張って開発されていると思いまずが、これテレビなのでもう少し現実的でもよかったのでは思ってしまう内容です。特に気になるのは6項目目の「ライブ収音及び生伝送が出来ること」です。

22.2chを収録するマイクってどんなマイクなのか?とかなり疑問になったので調べてみました。

22.2ch収録可能なマイク

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上記の黒い球体が22.2ch収録が可能なマイクです。大きさは直径が45cmほどあるそうです。このマイクにどうやってウインドスクリーン(風切音防止用品:マイクに被せているふわふわなもの)をつけるのかが不思議です。

しかもこの数の音響をどうやってリアルタイムでミキシングするのか全く分かりませんが、一応すべての項目を満たしているようです。

まとめ

8K(スーパーハイビジョン)は映像・音響とも従来のフルHDや4Kをはるかに凌ぐスペックとなっています。現状では8Kディスプレイ、8Kテレビ、22.2chサラウンドどの要素を取っても実現しそうように思えてしまいますが、10年後には恐らく一般的な仕組みになっていると思います。

しかし、このサラウンドを入れるには専用の部屋+防音室が必要になりそうです。我が家はまず家を建てるところから対応が必要です、いやーほしいなそんな部屋。たぶん、家も部屋も持てそうにないので、是非22,2chバーチャルサラウンドのヘッドフォンが発売されたら即買いしたいと考えてます。

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