今年のCES2016にて発表されたソニーの新しい液晶テレビ向けバックライト技術である「Backlight Master Drive(BMD)」。
正直なところ、このBacklight Master Drive(BMD)が搭載された4Kテレビが発売されるのは、早くて2017年以降だと思っていました。
しかし、良くも悪くも期待は裏切らてしまい、なんと今年発売開始!
ええーっと、9300D/9350Dシリーズの位置づけって一体どこなんですか?ソニーさん・・・と思わず聞きたくなってしまいます。
と、愚痴っても仕方がないので見てきました!BRAVIA Z9Dシリーズ。
ソニーショールーム「GINZA PLACE」へ
銀座四丁目交差点にリニューアルした、ソニーショールーム「GINZA PLACE」。ソニービルの建替えに向けてソニーショールームが引っ越しになりました。
ソニー製品で購入を検討していて、とりあえず触ってみたい!思った時に役立つ場所です。発売開始前のテレビやカメラ等もあり、自由に試すことが可能です。特にミラーレス一眼デジタルカメラに関しては、各種αのレンズが揃っているため、自分が使いたい組み合わせで商品を試すことが可能です。
1度目の訪問は撃沈
リニューアルしてから約1カ月ちょっとかつ、PSVRの影響もありオープン直後に行ったソニーショールームは、人・ひと・ヒト・・・・製品をじっくり見るというより人とヒトの中をすり抜けて歩くと言った状態でした。
これじゃあ、写真も撮れないし、動画なんてまずNG・・・ということで一回は数分で撤退です。ショールームの方に伺うと、最近は海外からのお客さんも多く、週末はどの時間も同様の状態とのこと。となれば諦めて平日に会社を休んで来るしかありません。
2度目、平日の午後に再訪
会社を休んでまで見に来たかったZ9Dシリーズ。
2度目は、平日の午後に休みを取って再トライです。
今度は、平日の午後一かつ雨の日ともあって、貸し切りとは言わないものの、比較的ゆっくり各製品を見れるぐらいの込み具合。ただ相変わらず、海外の方は多いものよう・・・。
でも海外勢はPSVRやデジカメ・ウォークマンに集中していたので、Z9Dシリーズ近辺は、人が少なく、ゆっくり製品を見ることが出来ました。
Backlight Master Drive(BMD)とは
このZ9Dシリーズの最大の特長は、CES2016にて発表された液晶バックライト技術である「Backlight Master Drive(BMD)」です。Z9Dシリーズの内容を記載するより、Backlight Master Drive(BMD)について記載した方が、9300D/9350Dシリーズとの差が見えるぐらいこのバックライト技術がZ9Dシリーズの特長とも言えるでしょう。
CES2016にて初めて発表された直下型LEDバックライト技術
Backlight Master Drive(BMD)は、CES2016にてどちらかという技術参考出展に近い形で世界で初めて展示が行われました。
Backlight Master Driveは、パネル背面全面にLEDを配置し、その配置したLED一つ一つを分割駆動制御することにより、自発光型ディスプレイと同等のコントラストや色表現を可能とする技術です。
これまでの直下型LEDバックライト技術は、パネル背面全面のLEDを幾つかのゾーン制御していましたが、Backlight Master Driveは、すべてのLEDを独立して緻密に制御し、より細かな明暗の表現や色彩豊かな色表現が可能となるようです。
最大輝度は4,000nitではない?
CES2016にて発表された際は、4,000nitとしていましたが、発売されたZ9Dシリーズの輝度スペックは非公開(公表)となっています。また、搭載されているLED数も非公開となっています。実際に見た感じでは、非常にコントラスト表現は強いけど、最大4,000nitあるようには見えなかったです。
私が普段、非常にお世話になっているサイトflatpanelshd.comによると、Z9Dシリーズの最大輝度は1,600nit以上であるとしていますが、色の表現については、DCI-P3 gumutを満たしていないとも記載されています。
Like DX900, Z9D now has so many zones that it outnumbers most other LCD TVs out there. And with a peak brightness of over 1600 nits, there is enough brightness to make HDR video “pop”However, our measurements showed that Z9D does not have as wide a color gamut as for example DX900 as it lacks some saturation in the green area of the DCI-P3 gamut.
//www.flatpanelshd.com/review.php?subaction=showfull&id=1474868470
個人的な見解ですが、Backlight Master Drive自体のスペックは、間違いなく最大輝度4,000nitあるけども、消費電力と発熱の問題から1,600nit程度に抑えたのではないかと思われます。昔のプラズマテレビには冷却ファンがついているテレビ多々ありましたが、最近は冷却ファン付のテレビはほとんど見ません。そのうえに昔に比べると非常に薄くなっています。
消費電力を見ると65インチのKJ-65Z9Dが298kWh/年、75インチのKJ-75Z9Dが367kWh/年と、他の直下型LEDバックライト採用を採用している4K/HDR対応テレビと大きく変わらない値となっていることからも、BMDの最大スペックを大幅に絞った上で製品化されたと予想されます。
9300Dシリーズとの差分はLEDバックライトだけ?
Z9Dシリーズは、Backlight Master Driveに注目が集まりがちですが、それ以外にも新しい技術がいくつか搭載されており、高画質化が行われています。
- X1 Extreme(従来のX1と比較して処理速度1.4倍に高速化)
- HDRリマスター(オブジェクトを解析し、コントラストを最適化)
- デュアルデータベースプロセッシング(ノイズ低減と超解像を実現)
- Super Bit Mapping 4K/HDR(8bit/10bit信号を14bitへオーバーサンプリング)
ただ、リモコンやホーム画面は、従来のAndoridTVベースのままでした。そのため、9300D/9350Dとの差分は、インターフェース等ではなく、BRAVIAの4Kテレビとのしてのハードウェアが大幅に進化しているようです。
映像デモ
上記は、Z9Dシリーズの100インチモデルである「KJ-100Z9D」のデモ映像です。
このデモ自体は、Xpeiraにて撮影したので、Z9Dの良さはほとんど伝わらないとは思いますが、雰囲気だけでも感じて頂ければと思います。
映像デモに流していた素材
デモ映像はコントラストよく画質の良さに圧倒される内容でした。
何の映像を流しているか?を確認したところ、業務用のデモ映像がデータであり、写真下のUSB(BDZ-ZT2000経由)から再生を行っていると教えてくれました。
ただ、映像がどの規格で何のカメラで撮影されたかまではわかりませんが、データ量から察するにビットレートは100Mbpsの映像になっているようです。
同じデモ映像が9300D/9350Dでも再生されていましたが、Z9Dと9300Dが並んでいる場所がなく、左右並べての比較は見ることが出来ませんでした。
ライトの位置や印象等などの影響もありますが、Z9Dシリーズの方が約1.5倍ぐらい明るかったような印象を受けました。
HLG方式のHDRにも今後対応予定
HDRについては、HDR10のみの対応となっていますが、スカパー!4KやひかりTV、2018年放送開始予定の4K/8K実用放送に採用が決定しているHybrid Log Gamma(HLG)方式のHDRにも今後Update対応予定だそうです。
海外情報では、BT.2100にも対応するという情報もあるのでDolby Vision(ドルビービジョン)への対応可能性もあるため今後のアップデート動向が気になるところです。
価格は?
Z9Dシリーズは、65インチ、75インチ、100インチの全部で3モデルあります。65インチと75インチは通常のラインナップとして生産しているそうですが、100インチについては受注生産だそうです。
過去にパナソニックが103型のプラズマテレビを発売したことがありますが、たしか記憶では600万円だったはず。しかし、今回の100インチZ9DシリーズBRAVIAである「KJ-100Z9D」はその価格を上回る700万円だそうです。価格を聞くと、受注生産であることも納得です。
ショールームの方に伺ったところ、「GINZA PLACE」にリニューアルして1週間で1台の受注があり、行った時点では通算2台の注文があったとのこと。たしかに製品として素晴らしいですが、このテレビに700万円かけるのであれば、個人的にはプロジェクターを購入した方が満足度が高い気がするのですが・・・(絶対に買えないから負け惜しみです。)
まとめ
Z9DシリーズのBRAVIAは、たしかにBRAVIA史上最高画質だと思います。100インチの700万円については、受注生産ということもあり、あくまでも宣伝用という要素が強いというのがよく伝わってきました。正直、100インチまで大型化してくると、4Kでは解像度不足の方が気になってしまいました。
このZ9Dシリーズと比較になるのが、パナソニックのDX950シリーズになるかと思いますが、こちらはLGのOLED(有機EL)を採用したテレビとなります。
【修正2016/11/24】パナソニックのDX950シリーズは直下型バックライトの液晶モデルが正しいです、コメントによりご指摘頂き、修正させて頂きます。
ソニーの液晶テレビとはまた違った良さがあり、非常に高画質な4Kテレビです。
さすがにソニー・パナソニックともフラグシップモデルは、最高画質を追求したモデルとなっているため、価格的にはかなりお高いですが、2社が競いあうことで4Kテレビのさらなる高画質化と普及が進むと思うので、これからもどんどん競いあってほしいと思います。