HDRの国際標準規格であるITU-R BT.2100とは?

  • 2016年9月22日
  • 2018年10月17日
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HDR

2016/7にTVのHDR(HDR-TV)技術が国際標準化(ITU-R勧告 BT.2100)されました。

HDRの国際標準化は、もう少し早く完了すると思われましたが、紆余曲折あり約4年半ほどかかってようやくBT.2100という規格となりました。

これまでは、4K/8K対応として国際標準規格としてBT.2020を目にしましたが、これからはHDR-TVの標準化規格であるBT.2100を目にする機会が増えそうです。

ITU-R BT.2100とは

方式PQ(Perceptual Quantization)方式
HLG(Hybrid Log-Gamma)方式
アスペクト比16:9
解像度(Pixel)7 680 × 4 320
3 840 × 2 160
1 920 × 1 080
Frame frequency(Hz)120, 120/1.001,100, 60, 60/1.001, 50, 30, 30/1.001, 25, 24, 24/1.001
Peak luminance of display≥ 1 000 cd/㎡
Minimum luminance of display≤ 0.005 cd/㎡

今回のBT.2100では、PQ方式とHLG方式の2方式とも標準化技術となりました。規格なのに2方式あるのは?という疑問に思われるかもしれませんが、この2つのHDRは内容が大きくことなります。

前者のPQ方式は、NetflixやひかりTVなどのVODサービスやUltraHD Blu-rayなどに採用されており、後者のHLG方式は、次世代放送である4K/8K放送に採用されています。

それぞれの用途が異なるため、2方式とも標準化となっています。

解像度は、FullHD,4K,8K

最近のテレビ等を見ていると、HDR対応=4Kというイメージがあるため意外かもしれませんが、BT.2100ではFullHDもサポート対象となっています。

FullHDのHDRサポートはテレビ向けというよりは、どちらかというとモバイル向けではないかと考えられます。日本ではまだ正式に発売されていませんが、Galaxy Note7はHDR対応機種となっています。

今後、Netflixもモバイル向けにHDRコンテンツ提供を検討しているため、FullHDでのHDR対応コンテンツが急速に普及してことが予想されます。

HDR対応であるGalaxy Note7

バッテリ問題で世界中でリコールとなっているGalaxy Note7ですが、個人的にはかなり期待している機種です。ディスプレイの解像度はFullHDしかありませんが、動画撮影機能はもちろん4K/30pをサポートしているハイエンドに部類されるスマートフォンです。

HDRに関しては、FullHDにてPQ方式の一つであるHDR10を採用しており、Amazonがまずは対応コンテンツを提供することを海外で発表しております。

また、Galaxy Note7対応用の新しいGearVRも海外では発売となっています。

これまでの傾向を見ると、少なくともドコモから16冬モデルから発売するのではないかと想定されます。ただ、このバッテリ問題で発売時期は遅れていそうですが・・・

【2016/11/7追記】

Galaxy Note7は、日本での発売は中止、発売済みの国では回収対応となっているようです。問題なのは、原因がまだ分かっていないことです。スペック的には、iPhone7 plusの対抗として期待された機種だけに今回の騒動は非常に残念ですね。

BT.709とBT.2020とBT.2100

BT.709BT.2020BT.2100
解像度HD4K,8KHD,4K,8K
フレームレート24,25,30,50,6024,25,30,50,60,12024,25,30,50,60,120
表示方式インターレース
プログレッシブ
プログレッシブプログレッシブ
カラースペースBT.709BT.2020BT.2020
ダイナミックレンジSDRSDRHDR
ビット8,10bit10,12bit10,12bit

これまで、4K/8Kの規格と言えばといえばBT.2020が出てきました。

そのため、よくHDの規格であるBT.709と4K/8Kの規格であるBT.2020が比較されてきましたが、今後はどうなるのでしょうか。

簡単ですが、各規格の主要な要素を比較してみました。

BT.2100はあくまでもHDR-TVとしての規格であるため、4K/8KだけでなくHDもサポートしており、この規格だけでは4K/8Kと言い切れないためです。

そのためこれまで通りの4K/8Kの解像度については、BT.2020が主に使われていくのではないかと思われます。

まとめ

2つのHDRはそれぞれ用途が異なるため、今後のテレビではどちらの規格もほぼ必須になっていくと想定されます。

PQ方式については、すでに多くのテレビにて対応となっていますが、もう一つのHDRであるHLG方式については、現在のところ対応しているのは東芝の4KテレビであるREGZAシリーズのZ20X(65Z20X/58Z20X/50Z20X)3機種のみとなっています。REGZAのアップデートは、10月からスカパー4Kにて同方式でのHDR放送が予定されているためです。

その他メーカーについてもアップデート対応が期待されるところです。

 

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