G for Gamesによるとスマートフォンシェア最大手のサムスンと、同じく大手のLGは来年2016年に発売する自社製端末へ4Kディスプレイの搭載を見送った模様と伝えています。
LGについては来年1月にラスベガスで開催されるCES2016で展示する製品概要も発表されていますが、たしかにこちらに4Kディスプレイ搭載のスマホはありません。一方サムスンもすでにCES2016の概要を発表していますが、こちらもテレビや家電関係が中心でスマホの発表はなしとなっています。
理由は主に3つ:発熱問題、4Kディスプレイ不足、コンテンツ不足etc
4Kディスプレイ搭載スマホの発売を見送った理由としては両社とも主に3つの理由のようです。
発熱問題
先日、発熱問題で話題のSnapdragon810の構成SoC「Snapdragon820」が発表となりましたが、両社ともこのSoCだけでは発熱問題は解決しないようです。発熱だけでなく、消費電力の問題からバッテリの持ち時間も見送られる理由の要素となっているようです。また、一部では次期SoCも発熱問題があると掲示板等では噂されています。
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4Kディスプレイ部材の不足
11月に発売された「Xperia Z5 Premium(SO-03H)」に搭載されている4KディスプレイはJDI製ではなく、シャープ製のディスプレイが採用されています。当初はソニーがJDIに参画していることからJDI製のパネルが採用されると想されていました、量産過程で課題があり、シャープ製のパネルになったようです。
現在のところ、スマホ用4Kディスプレイを製造・供給しているメーカーはシャープしかなく、4Kディスプレイを安定的に調達する観点からも採用が見送られているようです。世界シェアでアップルや中国の振興メーカーに猛追されている現世界シェア1位のサムスンとしては、供給不足による出荷台数減は絶対に避けたいでしょう。
4Kコンテンツの不足
日本では4K放送の「スカパー4K」や「ひかりTV 4K」等のサービス開始によってかなり4Kコンテンツが充実してきました。しかし、世界で見るとまだまだコンテンツが不足しています。日本は4K放送というサービス面だけでなく、4Kコンテンツの制作という面でも世界より一歩充実しています。
何故なら4Kコンテンツ制作に欠かせない4Kカメラや編集機器をパナソニックやソニーが世界のマーケットに展開しています。4Kコンテンツを制作するといった環境の整備がまずは海外では必要となっています。逆にこの状況をうまく日本のコンテンツ発信チャンスとして生かせればいいなと考えています。
Netflixは日本上陸の際に、日本でのサービス開始はユーザーの拡大とは別に、日本のコンテンツの重要性や調達についも熱く語っています。彼らとしては日本のコンテンツを調達し、世界に発信していきたいと考えているようです。
次世代ネットワークの5Gが必要?
上記3つの理由に加えてLTE等のモバイルネットワークの高速が必要とも言われています。2018年にも商用サービス開始と言われてる次世代の5G通信は最大速度が10Gbpsになるとも言われています。
11月より「ひかりTVどこでも」にて4K対応が始まっていますが、このサービスには通信速度15Mbpsほど必要となっています。日本は世界と比較して光ファイバーという固定通信網が整備されているため、LTEで遅かったらWi-Fi接続して固定通信でという代替手段がありますが、世界で見ると通信網はモバイル網が主流となってきています。理由として光ファイバーを国中の各家庭に張り巡らせるというインフラ事業は莫大な投資が必要となるため、新興国ほど通信がモバイル網に依存しています。
一方で今スマートフォンが売れる市場は固定網の整備が進んでいない新興国です。これらの国で仮4Kスマホと合わせて4Kコンテンツサービスを開始したとしても現在の4G(LTE)ではすぐにモバイル網自体が溢れてしまい、サービスが成り立たないと想定されています。爆発的に利用者数が増えている新興国を含めて4Kコンテンツサービスを支えるには次世代の5G通信網が必須となっているようです。
まとめ
来年、サムスンやLGという大手スマートフォンメーカーから4Kディスプレイ搭載端末が発売されないということはしばらくは、4Kスマホ=ソニーの「Xperia Z5 Premium(SO-03H)」一択となりそうです。個人的には7型ぐらいのファブレットで対応端末を発売してほしいなと願っています。