12月11日にスナドラことSnapdragonの最新版「Snapdragon820」が正式に発表されました。Snapdragonとは多くのAndroidスマートフォンに搭載されているクアルコム(Qualcomm)製のチップセット(以下SoC)です。
次期Galaxyである「Galaxy S7」や、来年3月に発売が噂されている次期Xperiaの「Xperia Z5 Ultra」に採用される見通しとなっています。
「Snapdragon820」が期待される理由:消費電力が2/3に
次期SoCである「Snapdragon820」が期待されている理由は消費電力の効率化です。現最新モデルSoCである「Snapdragon810」と比較して、消費電力あたりの処理性能が約35%の効率化されています。
この「Snapdragon810」が搭載された多くのスマートフォンで4K動画の撮影が可能となっています。しかし、このSoCは非常に消費電力が大きいことで問題となっていました。消費電力が大きいことはバッテリの消費が早いだけでなく、発熱量も大きいため放熱対策も必須となってきます。
先月発売になった4Kスマホこと「Xperia Z5 Premium」にもこのSoCが搭載されており、発売前から発熱問題が話題となっていました。これらの問題がこの次期SoCでは解決され、従来より小さいサイズでの4K動画撮影機能が付いたスマートフォンが出てくるでしょう。
「Snapdragon820」のスペックは
処理性能は2倍に
Snapdragon 820は、SoCの性能として今のSnapdragon 810と比べて約2倍になっているようです。CPUには4コア最大2.2GHz動作のカスタムCPU「Kyro」を搭載されています。このCPUは14nm FinFETで製造されており、クアルコム(Qualcomm)初の64bit版カスタムCPUとなっています。また、メモリはデュアルチャンネルのLPDDR4-1866をサポートしています。
GPUは40%性能アップ
GPUは、Snapdragon810に搭載されている「Adreno 430」と比較して約40%性能アップしている「Adreno 530」が搭載されています。また、カスタムCPUである「Kyro」との組み合わせることによって、Epic Games製ゲームエンジン「Unreal Engine 4」上で様々な機能がサポートされます。
サポートされる主な機能としては「相対角度の変動する動的な反射やスクリーン空間の反射」、「目の明暗順応のシミュレート」、「HDRレンダリング」、「TXAA」があり、よりリアルなゲームがスマートフォン上で実現しそうです。
画像処理プロセッサ(ISP)は最大2,800万画素までサポート
Snapdragon820に搭載されている「Spectra ISP」は最大2,800万画素撮影に対応しているようです。この画像処理プロセッサでは最新の一眼デジタルで採用されている14bitイメージセンサーや、ハイブリッドオートフォーカスなどをサポートしています。
また、暗所での撮影ノイズを低減する「Low Light Vision (LLV)」が搭載されており、より暗いところでもキレイな写真撮影が可能となっております。
映像出力は4K/60pに対応
HDMI 2.0/Miracast 2.0経由の4K映像出力や10bit 4K/60fpsのH.264/H.265動画のデコードに対応しています。従来のSoCでは4K/30pでしたが、次期SoCで「スカパー!4K」や「ひかりTV 4K」で放送されている4Kと同等の映像出力が可能となるようです。
Wi-Fiは次世代規格「IEEE802.11ad」をサポート。最大7Gbps通信が可能
60GHz帯を活用した、次世代のWi-Fi規格である「IEEE802.11ad」に対応しています。「IEEE802.11ad」は下り最大7Gbpsの通信が可能です。単に通信速度が速いだけでなく、少ない遅延での通信が可能となっています。
「Snapdragon820」が搭載されたスマホはいつ発売?
12月11日に北京で行われた「Snapdragon820」発表イベントによると、すでに70端末以上でこのSoC採用がきまっているようです。早ければ来年1月にラスベガスで開催されるCES2016でSnapdragon820搭載スマートフォンが発表されるようです。
また、来年2月にバルセロナで開催されるMobile World Congress 2016(MWC 2016)では発売時期を含めた具体的な発表がいくつかありそうです。