Microsoft 映画データ1本をガラス板に保存することに成功。耐久性も〇、アーカイブ方法として期待大

Microsoftはワーナーブラザーズと協力して、1978年に公開の映画「スーパーマン」を、75 x 75 x 2mmの厚さのガラス板に保存することに成功したと発表。この方法は耐久性の高いアーカイブの方法として期待されています。 実際にどんなガラスの板に保存出来たのでしょうか?これで50年以上前に撮影された映画たちも安心かな・・・

レーザーとAIでデータを石英ガラスに保存?

これは、超高速レーザー光学とAIを使用しデータを、石英ガラスに保存するMicrosoft Researchプロジェクトの「Project Silica」の実証テスト。

このレーザーは、さまざまな深さと角度で3次元のナノスケールの格子と変形の層を作成し、ガラスのデータをエンコードします。そして、機械学習のアルゴリズムは、光がガラスを透過するときに作成される画像パターンをデコードすることによりデータを読み取るそうです。

石英ガラスに保存と言うことですが、かなり耐久性の高いアーカイブの方法として期待されています。

ガラスは、極端な話をすれば、煮ても、オーブンで焼いても、浸水、消磁などなど、思い当たるかなりのアクシデントに耐えます。サイズも小さいので、保管も楽だし、火事、地震などの被害に遭う可能性が減りそうです。

サイズは、75 x 75 x 2mm。それで1978年に公開の映画「スーパーマン」すべてを保存できたとは素晴らしい。データは76.5GBだそう。

ドキュメンタリー映画『天才の頭の中』を見ましたが、ビル・ゲイツ氏と奥さんのメリンダさんは環境問題にかなりの投資を行っています。その投資先は、イノベーションを起こせるかどうか?という観点で選んでいます。やはり、Microsoft=イノベーションなんですね・・・

この『天才の頭の中』はNetflixオリジナル作品として配信中です。凄く面白かったので興味のある方はぜひ見てください。思った以上にこの人、いい意味で変態でした。(笑)

「Project Silica」は、非常に価値のあるアーカイブデータや企業が維持する必要があるデータを保存することを目的としているそうで、日々アクセスする必要があるものは対象にしていないそうです。

ペタ、エクサ、ゼッタまで・・・この先どうなる?長期保管のコストを削減

長期保管のコストを削減するのも、イノベーションですよね。私もそうですが、ほとんどの人は、「クラウド」を、スマートフォンやPCのストレージをスペースを一切使用せずに、何千もの家族写真から数百万のメールを保存する方法と考えていますよね。でも、実はすべてリモートのハードウェアに物理的に保存されているから、情報にアクセスできています。

昨今、4K、8Kと言ってますから、情報量は日々爆発的に増加。その情報は、データが失われる前に、新しいメディアに繰り返し転送する必要もあるし、長期保管コストが増加します。むかしAmazon Driveは動画も写真も無制限だったけど、今は動画は対象外ですよね。それと同じです。

HDDは3〜5年で磨耗するし、磁気テープは5〜7枚しか持ちません。

映画の元であるフィルムのネガは、適切な条件で保管されていれば何世紀も保管可能です。しかし、一部の古いテレビ番組は、元の物理コピーの保存期間は限られ、新しいフォーマットへの移行が必須でしょう。

た、デジタルで撮影された今の映画やテレビ番組でさえ、アーカイブ品質の3番目のコピーの移行サイクルは3〜5年と非常に短そうです。だからこそ、長期保管の方法を模索してきたのでしょう。

環境にも良く、何世紀にもわたってデータ保存可能

また、さすがMicrosoftと思うのは、石英ガラスを製造する際にエネルギーを消費しないことです。一定の温度に保つための空調施設も、空気から水分を除去するシステムも不要。

また、このガラスにデータを書き込むのは一度だけで、このガラス製のストレージは低コストの選択肢になる可能性もあるそうです。

ワーナーブラザーズは「Project Silica」を検討

100年の歴史を持つワーナーブラザーズは、世界で最も重要なエンターテイメントライブラリを所有しています。100年もあれば、どんな些細なものでも、歴史的価値がありますね。

ワーナーブラザーズは、永続的なバックアップの為に、「Project Silica」を検討しているそうです。

ワーナーブラザーズは、現在、デジタルで撮影された劇場公開用に、アナログフィルムに変換してアーカイブ3部目のコピーを作成。最終映像をシアン、マゼンタ、イエローの3つのカラーコンポーネントに分割し、それぞれをカラーフィルムのようにフェードしない白黒フィルムネガにします。そのネガは永久保管するべく、一定の温度湿度で保管されます。

こんなプロセスをやっている会社も一握りでしょうが、こんなデジタルの時代にフィルム保管・・・面白いですよね。

この「Project Silica」プロジェクト、費用対効果が高ければ継続し、実現されそうです。

クラウド用のストレージの設計

Microsoftの研究者は、現在データセンターで使用されているテクノロジーを使用し、何年も費やしましたが思い描いた結果に到達できなかったそう。

最終的に、「他に何もする必要のないクラウドのためにゼロから何かを構築できるか」と考え、Microsoftは、サウサンプトン大学オプトエレクトロニクス研究センターとのコラボレーションを開始。またMicrosoftのAzureからの投資により、ラボは物理学者、光学の専門家、電気技術者、ストレージのバックグラウンドを持つ研究者の学際的なチームが結成されたそうです。

エンコードは?

「Project Silica」の赤外線レーザーは、データを「ボクセル」にエンコードします。「ボクセル」は、フラットイメージを構成するピクセルの3次元に相当します。何かの表面にデータを書き込む他の光学式記憶媒体とは異なり、Project Silicaはガラス自体にデータを保存します。たとえば、厚さ2 mmのガラスには、100層以上のボクセルを含めることが可能。

データは、各ボクセルでエンコードされ、ナノスケールレベルで逆さまの氷山を作成するようなもので、深さやサイズ、溝を独特なものにしています。

デコードは?

機械学習アルゴリズムは、データを読み戻すために、偏光がガラスを通して輝くときに作成されたパターンをデコードします。

テープ保存とは異なり、読み込み時間は早いそうで、x軸、y軸、z軸内で同時に移動できるため、ガラスから読みこむのは非常に高速のだそうです。

石英は脆い?頑丈?

気になる強度ですが、石英ガラスの正方形は、驚くほど破壊しにくいそう。研究チームは、500度のオーブンで1つを焼き、電子レンジで加熱し、沸騰させ、スチールウールで精練しよう試みたそうです。それでも耐えたそうです・・・

さいごに

4K、8K、16K、そしてペタ、エクサ、ゼッタと増えていった際、この先どうなるのか気になっていましたが、長期保管のコストを削減し、何世紀にもわたって映像を保管できる技術に、Microsoftとワーナーブラザーズは挑戦しています。近い将来、コールドストレージだけでなく、私たちが身近に使うストレージにも良い影響を及ぼして欲しいですね。

参考

https://www.microsoft.com/en-us/research/project/project-silica/

https://news.microsoft.com/innovation-stories/ignite-project-silica-superman/

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