もうすぐ2019年「NHK技研公開」が5月30日(木)から6月2日(日)まで開催されます。入場は無料。情報が少しづつ出揃ってきたので、見どころをピックアップしたいと思います。さて、今年は何を見に行きましょう・・・
- 1 「NHK技研公開2019」5月30日(木)~6月2日(日)開催
- 2 4K・8K関連やVRの展示は?
- 2.1 講堂8Kシアター
- 2.2 8K超のVRの映像体験
- 2.3 フルスペック8Kライブ制作伝送実験
- 2.4 22.2ch音響/5.1サラウンド/ステレオの一体制作
- 2.5 次世代撮像デバイス技術:新しいカメラの開発
- 2.6 超大容量ホログラムメモリー:8Kコンテンツのアーカイブ
- 2.7 超薄型・軽量・大画面の8Kディスプレイ実現を目指して
- 2.8 スーパーハイビジョンワイヤレスカメラ:高画質で低遅延な4K8K映像を伝送
- 2.9 体験型:8Kでどこまで見えるか、しらべてみよう!
- 2.10 体験型:8Kでスローモーションを体験!
- 2.11 NHK技術の活用と実用化開発
- 2.12 4K・8K受信方法の説明・相談コーナー
- 2.13 講演は平日のみ
- 2.14 子連れなら、土日がお勧め!
- 3 さいごに
「NHK技研公開2019」5月30日(木)~6月2日(日)開催
今年もやってきました!「NHK放送技術研究所」が研究成果を一般に披露する「技研公開2019」。5月30日(木)から6月2日(日)まで開催します。今年は6月にまたいで開催するんですね。
NHK技研のホームページ:https://www.nhk.or.jp/strl/open2019/
73回目を迎えるそうです。見学には、タブレットを持っていき、 HPに載っているページをPDFで見ながら廻ると便利です。 初日は混み、土日もそこそこ混みます。年々見学者が増え、昼過ぎに行くと時間が足りなくなるので朝から出かけたいですね。
さて、今回のテーマは「ワクからはみ出せ、未来のメディア」ということで、3DテレビやAR・VR・AI・ARを活用した、従来のテレビのワクを超えた視聴サービスを実現する技術がメイン。計24項目の研究成果の展示を行う。
4K・8K関連やVRの展示は?
基本的には、東京オリンピックに向かた8Kの中継技術が主です。また、VRや3Dに関してもかなり完成度も上がり、これらを見るのも楽しいと思います。
フルスペック8K対応レーザープロジェクタと、22.2マルチチャンネルによる8Kコンテンツ(約12分)も例年同様、見られます。
講堂8Kシアター
5月30日(木) 午後1時00分~午後5時00分
5月31日(金) 午後1時00分~午後5時00分
6月1日(土) 午前10時20分~午後5時00分
6月2日(日) 午前10時20分~午後5時00分
最終上映の開始は午後4時40分を予定
・s**t kingz (シットキングス) ダンスパフォーマンス
・8Kエクストリーム ボディー 白鳥の悲しみを舞う~ロシア新体操の妖精~
・メキシコ・ユカタン半島 驚異の大自然
・神秘の水中鍾乳洞 セノーテ
・ウィーン・フィル ニューイヤーコンサート2019 <8K版>
8K超のVRの映像体験

VR映像は、3台の8Kカメラを放射状に並べて撮影。撮影方向の異なる映像を統合(スティッチング)し、8Kを超える高解像度の180度映像となっているそう。
映像の表示は、8台の4Kプロジェクターを使用。180度の円筒スクリーンにVR映像を投影。音響再生については、円筒スクリーンの上下に設置のスピーカーから音を再生。
大画面のスクリーンで多くの方が体験できます。
スクリーン(11m×高さ4m)
フルスペック8Kライブ制作伝送実験

フルスペック8Kの制作機器の開発や伝送・表示技術の研究を進めています。8K120Hzに対応した番組制作機器、符号化装置、衛星伝送装置、表示再生装置でフルスペック8Kのライブ制作伝送実験を行っています。
● 8K120Hzのライブ制作
8K120Hzに対応した、中継車、リアルタイム編集可能なオンライン編集機、低遅延・軽圧縮IP伝送装置を用いてライブ制作をしています。
●8K120Hzの符号化装置と21GHz帯衛星によるライブ伝送
画質向上と高ビットレートでのリアルタイム処理を実現した8K120Hz映像符号化装置と、広帯域・大容量伝送が可能なBSAT-4a衛星の21GHz帯中継器を用いてライブ伝送しています。
● 8K120Hz対応シート型有機ELディスプレーによる表示と22.2ch音響再生
8K120Hzに対応した、薄型・軽量な88インチのシート型有機ELディスプレーで映像を表示しています。22.2ch音響は、ラインアレースピーカーを用いたトランスオーラルシステムで再生しています。
22.2ch音響/5.1サラウンド/ステレオの一体制作

22.2マルチチャンネル(22.2ch音響)の音響的な特徴を保持したまま、5.1サラウンドとステレオを自動で制作するためのダウンミックス装置を展示。生放送にも使用可能なリアルタイムダウンミックス装置を展示。(22.2chの平均ラウドネス値が-24.0なので、その数値に合わせダウンミックスする技術。)
従来の技術では複数のチャンネルが加算されると、音色が劣化にしてしまったそうです。22.2ch音響の周波数成分ごとの音の強弱に合わせ、ダウンミックスを補正し劣化を抑制しているそうです。
次世代撮像デバイス技術:新しいカメラの開発

8Kカメラの高性能化に向けて、新構造の撮像デバイスの開発を進めています。①カメラの高感度化を目指した増倍膜積層型撮像デバイス ②高精細小型単板カメラを目指した有機膜積層型カラー撮像デバイスの技術紹介。
①高感度化に向けて:増倍膜積層型撮像デバイス
結晶セレンを用いた光電変換膜(増倍膜)は、光で生じた電荷を加速し、膜内の原子に衝突させることで信号電荷を増やすことができます。今回の展示品は、
信号読み出し回路(CMOS回路)上に積層し、10倍の増倍を実現した撮像デバイスの展示。
②小型で高精細な単板カメラに向けて:有機膜積層型カラー撮像デバイス
光の3原色(R・G・B)それぞれを電気信号に変換する3種類の有機膜と、各有機膜から電荷を読み出す透明のTFT回路を交互に積み重ねた、積層構造の単板カラー撮像デバイスを開発。画素ピッチは、従来の50µmから20µmに縮小。
超大容量ホログラムメモリー:8Kコンテンツのアーカイブ

8Kスーパーハイビジョン映像の長期保存技術として、大容量・高速度のホログラムメモリーの研究を進めています。
ホログラムメモリーでは、10ビットのデジタルデータを3×3の2次元画像データに変換して記録再生します。
従来は、黒と白のみを用いた振幅2値データを記録していました。今回、黒と白の中間の明るさ2種類を加えた振幅4値データを高密度に記録。
振幅4値データを使うため、中間の明るさを検出しやすい10-9変調符号方式を使用しています。
超薄型・軽量・大画面の8Kディスプレイ実現を目指して

4K8K放送を家庭で楽しめるよう、超薄型・軽量・大画面フレキシブルディスプレイの開発を進めています。
展示では、大画面ディスプレーの製造に適した要素技術として、塗布型TFTと量子ドットEL素子を展示。
今回開発したのは、真空プロセスと同等の移動度の高いTFT。また量子ドットは、有毒なカドミウムを使用しない新しい量子ドット材料で、高色純度の緑色EL発光を実現したそうです。
スーパーハイビジョンワイヤレスカメラ:高画質で低遅延な4K8K映像を伝送

4K8K放送のスポーツ中継番組で利用できる、ワイヤレスで小型・低消費電力の伝送装置を開発しています。また、制作現場で機器の設営を簡単にするために、受信信号をイーサネットで伝送する装置も開発し、ケーブルの延長や分岐が簡単に行えるそうです。
体験型:8Kでどこまで見えるか、しらべてみよう!

8Kカメラの操作体験
放送用カメラを操作し、最新の8Kスーパーハイビジョンの映像とハイビジョンの映像を比較ができます。
8Kカメラの解像度特性の測定
カメラがどのくらい細かい映像を撮影できるか調べる装置を使って、ズーム、フォーカス、アイリス(絞り)を調整しながらカメラの特性を調べられます。
体験型:8Kでスローモーションを体験!

スポーツ番組や科学番組などでよく使われるスローモーション。8K番組の制作現場でも、高速度で撮影・記録できるカメラとレコーダーを組み合わせた8Kスローモーションシステムが活躍しています。
8K4倍速高速度カメラ
4倍速撮影(毎秒240枚)が可能な8K高速度カメラとレコーダーを使用した8Kスローモーションを体験可能です。
8K4倍速レコーダー
4倍速の8K映像をリアルタイムに記録しながら、同時にスロー再生ができるレコーダーを開発。このレコーダは4時間の連続記録に対応しているそうです。
NHK技術の活用と実用化開発

ここでは、NHKの特許技術と、実用化に向けて開発中の技術を展示しています。
8Kの応用展開 ~医療とアート分野での応用例~
①医療応用:新たに開発した小型8Kカメラによる内視鏡/顕微鏡撮影・表示システム
②アート応用:異なる方向から見た2つの8K映像により、美術品をあたかも手にしているように鑑賞できる「インタラクティブ8K美術品鑑賞システム」
これまでも、4K8Kの技術として実用化していますが、最新技術の話を聞けると思います。
4K・8K受信方法の説明・相談コーナー

家庭で「NHK BS4K」「NHK BS8K」を視聴するには、対応の受信機や受信設備が必要です。このコーナーは、家庭で「NHK BS4K」「NHK BS8K」を視聴する際のポイントを聞けるコーナーです。
講演は平日のみ
事前のお申し込みは不要です。先着順。「ラボトーク」では技研の研究員が新しいスタイルでプレゼンテーションを行います。
5月30日 (木) 基調講演
身体の未来 拡張現実感から人間拡張工学へ
東京大学 先端科学技術研究センター 教授 稲見 昌彦 氏
空間表現を広げる視覚のしくみ
東北大学 電気通信研究所 所長・教授 塩入 諭 氏
5月31日 (金) 午前10時~12時
ラボトーク ~技研職員によるプレゼンテーション~
もっと簡単・快適にコンテンツを楽しむために
多様な視聴スタイルを実現するメディア統合技術
ネットサービス基盤研究部 遠藤 大礎
マラソンを8Kで中継できるか?
大容量の映像伝送を可能にする双方向無線システム
伝送システム研究部 伊藤 史人
音のカスタマイズ、してみませんか?
オブジェクトベース音響による放送音声の高機能化
テレビ方式研究部 杉本 岳大
触覚はメディアをどう変えるか?
スポーツの迫力や状況をユニバーサルに伝える触覚インターフェース
スマートプロダクション研究部 半田 拓也
機械の目と脳が作るあらたな映像の世界
映像解析技術と機械学習を利用した番組制作の高度化
空間表現メディア研究部 高橋 正樹
“究極のカメラ”を考える
次世代の放送・サービスを支える撮像技術
新機能デバイス研究部 後藤 正英・テレビ方式研究部 安江 俊夫
子連れなら、土日がお勧め!
- 技研職員によるガイドツアー(1Fエントランスで受付。1日22回開催 / 所要時間 約1時間)
- 技研スタンプラリー
- こどもワークショップ(7F)
さいごに
NHKのHPにも詳しい行き先が載ってますが、こちらに詳しく書いているので参考にどうぞ。
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