今年の「NHK技研公開2018」は、例年以上に見やすかったです。ただ、さほど目新しいものはなく、数も少ない印象でした。ココからは、自分が気になった展示物を見ていきます。4Kというより8Kネタが多く、スポーツ中継に4K・8Kを望んでいる方向けの内容です。
NHK技研公開2018年で気になる展示
シート型8K有機ELディスプレイ
1枚のガラスシートで8K映像を表示していました。バックライトが不要な有機ELによる薄型構造で、シート状の薄型構造を実現。開発は、LG Display、アストロデザイン(株)と共同。
パネルはLG Display製で薄さは約1mmほど。フレームレートは120Hz対応する模様。
大気安定な逆構造有機ELデバイス
8Kが普及し、将来の有機ELディスプレイとして、薄くて軽い有機ELディスプレイの開発も進んでいます。現在の有機ELデバイスは水や酸素に弱いため、それを通しやすいプラスチック基板上で有機ELディスプレイを作ると、欠陥画素が増えて長期間使用できません。
そこで、従来の積層順を逆にした逆構造の有機ELデバイスを開発したそうです。日本国内の有機ELメーカー(株)日本触媒と共同開発。
フルスペック8K中継制作システム
2018年12月から開始される「新4K8K衛星放送」気になるフルスペック8K制作システム搭載の中継車が公開された。意外と小さかったことにびっくりでしたが、ケーブルの本数も減ったし、小さくなって当然ですね。
そもそもフルスペック8Kとは、高解像度(8K)、広色域、ハイダイナミックレンジ、多階調(12ビット)、高フレーム周波数(120Hz)を兼ね備えた、高精細かつ色鮮やかで動きぼやけが少ないもの。
カメラ、レコーダ、波長多重伝送装置(10ⅹ26)、ライブスイッチャー、文字合成装置、4K8K映像モニター、波長多重伝送装置を装備し、放送局の外でもフルスペック8Kの番組制作を可能にするという。
スイッチャーは、最大6系統のフルスペック8Kを、映像切り替え可能。ワイプ、スライドなどはもちろん、フルスペック8Kでは初めて、ピクチャーインピクチャーも実現。
搭載されている波長多重伝送装置は、光ファイバーで非圧縮144Gbpsの映像を最大70km先まで送ることが可能。U-SDIは、最大で240Gbps(10Gbpsx24)送れるのでまだまだ余裕がありそうです。
これで、中継場所からの伝送も、パブリックビューイング会場への伝送も万全です。
8K4倍速スローモーションシステム
3板式の8K/240Hzスローカメラは、ロシアW杯出張中と貼ってありますが、「2018FIFAワールドカップ ロシア」で初めて運用されるようです。
カメラヘッドとカメラコントロールユニット(CCU)の間はカメラケーブル1本で接続し、CCUからは8K4倍速の映像がU-SDIインターフェースケーブル2本で出力されます。
8Kで4倍速のスローモーションシステムは、8K映像を4倍速(毎秒240枚)で撮影・記録し、毎秒60枚で再生すると、8K4倍速のスローモーションになります。
スローモーション映像も、高画質のまま見られるようになるなんて嬉しいですね。
8K120Hz映像符号化・復号装置
フルスペック8K映像のリアルタイム圧縮するハードウェア符号化装置(エンコード装置)です。
スタジアムで撮影したの8K映像を、パブリックビューイング会場で上映することを想定している模様。これもオリンピックやラグビーのワールドカップをもちろん想定しているんでしょう。
スタジアムで、8K/120Hz映像をハードウェアでエンコードしながら、1/1000程度に圧縮して伝送、そのころパブリックビューイング会場では、8K/120Hz映像をデコードして再生。
映像符号化方式にはMPEG-H HEVC/H.265のMain10プロファイルを用い、ARIB標準規格STD-B32 3.9版に準拠した符号化ストリームを出力。
復号部をソフトウェアで実現した8K120Hz映像復号装置は、ARIB標準規格に準拠した8K120Hzの符号化ストリームをリアルタイムに復号可能。
さいごに
まだまだ続くので、続きは次回。
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