アンテナメーカーとして有名なマスプロから裸眼で3D(3D Glasses)表示が可能な4Kディスプレイが発売となりました。一般的にはすでに「3D」が死語のように忘れされた感がありますが、この4KディスプレイはPC等をターゲットした一般用ではなく、サイネージなどの商用向けのようです。
製品スペック
この製品の特長としては裸眼(グラスレス)で3D表示に対応していることです。「レンチキュラーレンズ」と呼ばれる特殊なレンズが搭載されているため裸眼で3D(3D Glasses)表示が可能となっています。4Kディスプレイとしては一般的なスペックである3840×2160となっています。
レンチキュラーレンズとは
人間の左右の目で見える映像に差分(両眼視差:右左で見える映像位置のずれ)をレンチキュラーレンズと呼ばれる特殊なレンズで作って揚げることによって印刷物や映像を立体的で動きのある表現にすることが出来ます。
電車の広告にも見る位置を少しずらすと見え方が変わる広告があります。これらの広告はレンチキュラーレンズを用いて作られています。今度、そのような広告を見かけたら触ってみて下さい。表面がすこしザラザラしているのが分かると思います。
このザラザラで実は左右の目で見える映像差分(両眼視差)を作っています。レンチキュラーレンズという名前はあまり聞きなれないとは思いますが、このレンズを利用した広告はほとんどの方が見たことがあると思います。
用途はサイネージ向け
これまでも民生用の3Dディスプレイは各社が発売してきましたが、結局はほとんど売れず発売が終了となっています。大型テレビも数年前に3Dブームが一時的にありましたが、こちらも今はほとんどアピールされていません。
これまでの経緯を見るとグラスが必要・不必要に関係なく、3Dについては一般家庭に3D技術はまだ早すぎるようです。そのためこの製品は一般家庭用ではなく、公共施設やショッピングモール鐙を対象とした商用サイネージ用に特化した製品になっています。
今後の次世代テレビに3D技術等が全く入ってこないかというとそうでもなさそうです。
8Kテレビの先、次世代テレビは立体テレビ?
NHKや研究所等が行っている次世代と呼ばれるディスプレイ技術を見ると、8Kテレビの次は16Kテレビではなく、インテグラル立体テレビなどに向かっているようです。
従来の3Dテレビでの欠点はメガネがいるということもありますが、3Dっぽく見える範囲が非常に狭いことです。また、疑似的に3Dにしているので、見ていると目がものすごく疲れてしまいます。
これらの欠点を克服しようとしているのがインテグラル立体テレビです。まだ、実用化は先ですが、言わばホログラム表示が可能なテレビという感じでしょう。すでに試作が何度かNHK技研で公開されています。
私も何度か見ているのですが、ここ2~3年の映像はかなり立体的に見えるようになってきたというのが感想です。ほんとにその場にいるように浮かび上がっているように見えます。
ではなぜ8Kテレビの先か?ということですが、この立体表示をリアルに表現するにはディスプレイに高い解像度が必要だからです。8Kテレビ相当になるかはまだこれからですが、15年後ぐらいには家庭でホログラムが表示出来るようになっているかもしれません。