
NECは、2016年2月4日に国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)と共同で、2月5日から開催される「さっぽろ雪まつり」にて、SDN(Software-Defined Networking)を用いたネットワークにて8K(7680×4320)によるライブ中継実験を実施すると発表しました。
8K映像伝送実験ネットワーク構成図

今回の実験では、世界で初めてSDN(Software-Defined Networking)を用いたネットワークにて、8K非圧縮映像(24Gbps超)をリアルタイムで暗号化(IPsec)し、伝送実験を行います。
昨年の2015「さっぽろ雪まつり」でも同様の実証実験が実施されましたが、昨年の実験構成にはSDNは含まれず、暗号化も実施されていませんでしたので、よりインターネット網での伝送を想定した実証実験のようです。
実証実験用ネットワーク
試験用ネットワークは、国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)が管理する研究開発用ネットワークである「JGN-X」と、大学共同利用機関法人情報・システム研究機構 国立情報学研究所(NII)が構築中の学術情報ネットワーク「SINET5」にて構成されています。
JGN-Xは、100Gbpsという超高速な基幹回線を持つネットワークです。私も4Kに関わるシンポジウムで随分お世話になっている組織&回線です。8Kの映像伝送では関わったことはないのですが、4Kのライブ配信やテレビ会議等で利用させて頂きました。
今回の実証実験では、NECのSDN対応製品「UNIVERGE PFシリーズ」各種が2拠点(札幌、大阪)に設置されます。映像配信は、北海道テレビ放送等の実験参加組織と連携し「さっぽろ雪まつり」の8Kライブ映像を大阪(グランフロント大阪内のナレッジキャピタル)に設置したパブリックビューイングに配信を行うようです。
まとめ
今年から始まる8Kの試験放送に関して、総務省の資料上では、衛星(BSデジタル)を用いた放送しか予定されていませんが、今後は8Kについてもネットワークを利用した配信が始まると予想されます。
ただ、8Kについては、最新の圧縮技術であるH.265/HEVCを用いても100Mbps前後という膨大なデータ量となっています。このデータ量を安定的にかつ確実に各家庭へ配信するには、今回の実験で利用されるSDNやNFVといった新技術の活用及びマルチキャスト等の効率的な映像配信技術が必須になってくると思われます。