幕張メッセで11月16日~18日まで開催の「Inter BEE 2016」に行ってきました。2018年の4K/8K実用放送開始に向けて、様々な提案や新製品が展示されていました。特にディスプレイ・モニター関連について書いていこうと思います。
キーワードは「4K・8K・HDR・IP」
NHK 8Kとスカパー!の4K HDRデモ
まずエントランスに、NHKに8K試験放送と「スカパー!のHLGによる4K HDRライブ上映デモ」が!個人的には、スカパー!のライブデモの方が楽しかったのですが、8Kのインパクトには勝てず・・・人もまばらでした。
NHKの8K(スーパーハイビジョン)試験放送は、14時から放送していたルーブル美術館の8K/HDRと16時からの大相撲(九州場所)をシャープ製の85インチディスプレイであるLV-85001を使って表示していました。
ルーブルの8Kは録画番組ですが、大相撲は生放送による8K(スーパーハイビジョン)の放送を実施しているとのこと。近くにいたNHKの担当者に確認したところ、この大相撲の中継は衛星経由でNHK渋谷センターに送って、その後8K用に上げなおしていると言っていたのですが、詳細を確認すると?なところがあるため、実際はどう経由して中継しているかは、確認がとれませんでした。
なぜ?と思ったかというと、今の8Kはスペック的にH.265/HEVCを用いて100Mbpsに圧縮を行っています。NHKの担当者が衛星経由で渋谷の放送センターに送っていると教えてくれた際に100Mbpsの映像を中継車でトラポンに上げれるようになったんですね!と確認したら・・・そんなことは無理なはず。。。というちょっと矛盾した回答が返ってきたため、詳細は不明です。
ただ、8Kに必要な機材等々は、8K専用の中継車であるSHA-1/SHA-2が現地(九州)に行っているとのこと。また、22.2chの音声車であるSA-1やこれらの中継車用の電源車も現地に行っているようです。
でも、テレビの画面を切り取ってもこんなに綺麗なんですから、素直に8Kは凄いんだとわかります。新しい展示の形ですね。
SONYの CLEDIS 他
もの凄いインパクトを感じたのは、SONYのブースの「CLEDIS(クレディス)」コーナーで、220型で4Kの展示。
展示されていた構成である220型での価格は1.2億円ほどとのこと。もちろん、業務(法人)むけの製品だそうです。
CLEDISとは、博物館やパブリックビューイングを想定したモニターなのですが、圧倒的に綺麗なのと滑らかな動きで魅了されました。自動車や絢香のライブ映像、「ムーム はじまりの物語」という全編フル4K&HDRのアニメのデモを観ました。
このディスプレイはユニットの組み合わせにより、任意のサイズにできるのも魅力。これから博物館などにお目見えするでしょう。
https://www.sony.co.jp/SonyInfo/News/Press/201605/16-053/
また、HDR対応力を増した4K有機ELマスターモニター「BVM-X300」“Ver.2.0”なども展示していました。
また業務用ですが、HDR対応4Kディスプレイの新しいモデル「DP-V2420」、来年2月に発売予定の17型モデル「DP-V1710」も展示してました。
また、最低被写体照度0.004ルクス以下を実現し、暗闇でもカラー撮影可能な4K対応ネットワークカメラ「SNC-VB770」のデモもみました。実際の映像をみても、4Kだと暗闇でも本当に綺麗にみられると確認できました。
ちなみにこの「SNC-VB770」を使った基本的なシステム(SNC-VB770、レンズ、カメラハウジング、4Kデコーダーボックス)は、約200万円+税(工事費&ネットワーク機器&回線費用は別)です。
//www.sony.jp/snc/products/SNC-VB770/
BRAVIA史上最高画質を誇る「Z9Dシリーズ」も展示していました。
詳しくはこちらをどうぞ。
アストロデザインは8K編集フローを提案
アストロデザインは、8K映像の編集ワークフローを提案していました。8K対応のカメラやレコーダ、ディスプレイなどを展示。
今年のNHK番組技術展にて8K中継車であるSHA-1に乗車した際に、メインルームにアストロデザイン社製の55インチ8Kモニターが搭載されていました。
今回のInterBEEにて展示されているディスプレイが同じかどうかを確認したところ、別ものであるといっていました。8K中継車に搭載している55インチモニターは恐らくHDRに対応していないとのこと。
実用化に向けた技術も展示されてました。上の野球の映像は4Kを切り取ってアップにする技術です。
EIZOはHDR対応4K液晶モニターの新モデルを参考展示
EIZOは、HDR対応4K液晶モニターの新モデルを参考展示。輝度1,000nits対応モデルで明るくて綺麗でした。現在発売の「ColorEdge C318-4K」は、300nits対応ですから、さらに高輝度のモデルということになります。発売は2017年度の予定で、100万円くらいになる予想だとお話を聞きました。
EIZOの「ColorEdge」は素晴らしい4Kディスプレイなのですが、お値段が私には合わず、今のところ導入出来ずにいます。
EIZOは、「写真家 茂手木 秀行さん」による「カラーマネージメントや4Kモニター導入においての知識」に参加しました。
内容を言うと、ColorEdge 4Kモニターを使ってない私にも役に立ち、有意義なものでした。ここのセミナーはお勧め。いつか「ColorEdge」も欲しいです。
ソシオネクスト、Advantech 社のボード「VEGA-3304」展示
ソシオネクストは、PCIe Express ボード 1 枚のサイズで 8K/60p 映像の HEVC/H.265 方式リアルタイムエンコードを可能とする、台湾Advantech 社のボード「VEGA-3304」を展示。
VEGA-3304には、ソシオネクスト社製の4K/60pをリアルタイムでHEVC/H.265方式にエンコードするLSI「MB86M31」を4個搭載し、8K映像を4分割し、分割した4K映像をそれぞれのLSIにて処理することによって、8K/60pのリアルタイムエンコードを実現していています。
8K/60pのリアルタイムエンコードについては、NTT/NECなども機器の開発を行っていますが、上記同様に4K/60pのLSIを用いて8Kを4分割することによって8K/60pのリアルタイムエンコードを実現しています。
結論としてはまだ8Kのリアルタイムエンコードの需要が見えてこないため、しばらくは4チップを使った分割方式が主流になるのではないかとのことでした。
8Kでの放送を商用として正式に予定しているのは、NHKだけなので当然といえば当然なんでしょうね。
//www.socionext.com/jp/pr/sn_pr20161110_02j.pdf
8K映像の試験放送が開始され、2018年には実用放送が予定されていますが、HEVC/H.265、AVC/H.264、MPEG2 のエンコード、デコード、トランスコードなど、さまざまな映像信号処理の機能を1チップで提供するマルチフォーマットコーデック LSI「MB86M30」が展示されてました。
//www.socionext.com/jp/pr/sn_pr20161110_01j.pdf
ここからは、個人的に見たかったもので、モニターやディスプレイではないんですが・・・
これが見たかった、DJI 4Kドローン「Mavic Pro」
折りたたみ可能な4Kドローン「Mavic Pro」が、DJIから10月に発売されています。凄い人気だと担当の方も言ってましたが、私自身もこれが見たかった。
実際触った印象は、めちゃくちゃ軽いです。女性でも問題ない重さで人気がでるのが理解できます。旅行に行く際に連れていきたいアイテムです。
Panasonic 4K全天球撮影システム
パナソニックのブースに筒のようなマイクのような形の「4K全天球撮影システム」が参考展示されていました。ネット配信での利用を想定し、ライブのステージや、イベント会場の中央などに設置して使うそうです。
レンズの端の映像は歪みが出るだろう・・・と思って凝視しましたが、目立ちませんでした。カメラに近づいても、顔がおかしく撮影されないように撮影もされるようです。
さいごに
8Kの映像は、何度も見たことがあるのに引き込まれるものがあります。大相撲もルーブル美術館の映像もその良さがありました。
これからも、さまざまな分野で8K4Kの技術が役立っていくのでしょうね。
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