今年のCES2016の基調講演は、昨年9月から日本でもサービスを開始したNetflix(ネットフリックス)でした。これまでソニーやサムスンなどハードウェアメーカーのCEOなどが基調講演を行うことが一般的でしたが、今年はサービス事業者のNetflixが選ばれたのも、いかにNetflixが勢いがあるかということを表しています。また、アメリカではNetflixに対応していないテレビは売れないとまだ言われており、いかにNetflixがテレビに対して影響力があるかということが感じられます。
インターネットTVとなったNetflix(ネットフリックス)

今年から新たに130ヶ国で配信サービスが開始され、既存と合わせると190ヶ国となり、中国やシリアなどを除くほぼ世界中でサービス提供が開始されます。インターネットがあればどこでも視聴出来てしまうVODサービスは他にないでしょう。Netflixを利用しているユーザーは現在7,000万人強ですが、今後はアメリカ以外でのユーザーの確保が課題のようです。
Netflix(ネットフリックス)はコンテンツ事業者でもある。
コンテンツ調達費用はなんと50億ドル(約6,000億円)!
2016年に予定されているコンテンツ調達費用はなんと50億ドル!これはオリジナルコンテンツの制作費用と調達しているコンテンツのライセンス費用の合算ですが、金額でいうとNHKの年間予算にほぼ匹敵する額です。
Netflix(ネットフリックス)の最も大きな特徴は、質の高いオリジナルコンテンツでしょう。特に4K(Ultra HD)にて制作されたコンテンツは、作品自体の質の高さだけでなく、映像品質の高さでも定評があります。
4Kコンテンツの平均1エピソード(話)あたりの製作費は平均約4億円!
1エピソード(話)あたりの平均製作費が約4億円と言われているNetflix(ネットフリックス)の4Kオリジナルコンテンツ。今年は昨年の約倍に相当する20作品(続編を含む)のオリジナル4Kコンテンツの配信が予定されています。リストは以下の通りです。
- Chelsea Does
- Crouching Tiger, Hidden Dragon: Sword Of Destiny
- Pee Wee’s Big Holiday
- The Crown
- Flaked
- Fuller House
- The Get Down
- Grace and Frankie: Season 2
- Jadotville
- Love
- Marvel’s Daredevil: Season 2
- Marvel’s Luke Cage
- Marco Polo – Season 2
- Mascots
- Marseille
- The OA
- The Ranch
- Special Correspondents
- Stranger Things
- War Machine
- Green Eggs and Ham
今年注目の4Kオリジナルドラマは「The Crown(ザ・クラウン)」
今年配信開始される中で最も注目される4Kオリジナルドラマは英国のロイヤルファミリーを描いた「The Crown(ザ・クラウン)」でしょう。Netflixが初めてエミー賞を受賞したハウス・オブ・カードを上回る製作費が投入されているようです。
日本で話題になりそうな4Kオリジナルドラマ「フラーハウス(Fuller House)」
日本ではNHKで放映されたいた「フルハウス」がスピンアウトオリジナルドラマがNetflixでは新されます。個人的にはこの作品が今年一番楽しみな作品です。
あの「フルハウス」のスピンオフドラマがNetflix(ネットフリックス)オリジナル4Kコンテンツとして2/26より配信開始
4Kラブコメディもある!近日公開予定のLove」
人生に疲れた女とオタクな男が出会いを描いた?ラブコメディ「Love」。オタクな男が出会いとの出会い・・・と聞くと「電車男」を思い出していまいそうな内容です。この作品は来月の2/19から配信予定となっています。
「Grace and Frankie: Season 2」など待望の続編も
「Grace and Frankie」は仕事仲間の男性同士が、お互いの妻たちに「僕たちお互いに恋をしているんだ」と告白したところからスタートする同性愛者のコメディ作品。昨年にシーズン1が公開されています。
また、それ以外にも少年時代に自らの盲目と引換えに得た超感覚を利用し、夜はDaredevil(デアデビル)となって活躍する「Marvel’s Daredevil」の続編である「Marvel’s Daredevil: Season 2」や、冒険家のマルコ・ポーロを描いた「Marco Polo – Season 2」も配信予定となっています。
続編としては「センス8」を待望しているのですが、現時点での配信予定には含まれていなかったので少し残念です。
技術革新を続けるNetflix(ネットフリックス)
技術面ではどうしても4K/HDR対応に注目が集まってしまいますが、その他にも多くの注目すべき内容があります。Netflixの使いやすさの源は高い技術力にあります。特にストリーミング技術については、常に技術開発を行っています。
他社サービスと比較すると実感出来るのですが、Netflixはどの映像を見てもほとんど視聴中に止まることはありませんし、コンテンツを選択してからの再生もものすごく速いです。彼らのアプリは、視聴しているユーザーのデバイスやインターネット回線の帯域を常に把握しており、その状況にあった帯域にて映像コンテンツを提供しています。
NetflixではOpen Connect(Open Content Delivery Network)と呼ばれている独自のCDN網を世界中に展開しており、より効率的に確実に映像コンテンツを配信する仕組みを有しています。
新エンコード技術「Complexity Based Encoding」
Netflixが複数の大学と共同で開発を進めている新エンコード技術が「Complexity Based Encoding」です。特長として、既存のエンコード技術よりも映像品質を維持しながら、約20%もデータ量を減らせるとのこと。すでにアメリカでは導入が始まっており、今後世界へ展開される予定です。
「Alliance for Open Media」設立メンバーに参加

また、Netflixはオープンな次世代動画フォーマットの開発を目的とするアライアンスである「Alliance for Open Media」設立に参加しており、今後もより効率的なエンコード技術の開発を行っていくようです。Alliance for Open Mediaの設立参加企業は以下の7社。日本の企業は含まれておらず、すべてアメリカの企業でグローバルに活躍している会社ばかりです。
- Netflix
- Microsoft
- intel
- cisco
- mozilla
- amazon
同アライアンスが目指すオープンな動画フォーマット(エンコード)は、Webに最適化され、様々な端末(マルチデバイス)や帯域幅に柔軟に対応し、リアルタイムストリーミングにも対応する高品質で商用にも非商用にも利用可能なものだそうです。聞いていると、なんかスペシャル過ぎるフォーマットですね。
メディアフォーマット(コーデック)はすでに各社がそれぞれ独自に取り組んでします。例えば、MozillaがDaalaプロジェクト、CiscoはThor、GoogleはVP10を開発していますが、これらを統合し、著作権使用料無料のオープンなメディアコーデックを開発が予定されています。
4K/HDR対応は今年後半予定
CES2016ではYouTubeのCEOのうっかり?HDR対応を発表もありましたが、映像配信サービスにおいてHDR対応の本命はNetflix(ネットフリックス))でしょう。Netflixは今後のHDR品質を保証・認定していく「UHD Alliance」の設立メンバーでもあります。CES2016ではUHD Allianceが新たに「Ultra HD Premium」を発表しましたが、この内容にはNetflixを始めとする所謂OTTも念頭においた内容が含まれています。
セキュリティ対策も万全
Netflix(ネットフリックス)は全世界で190ヶ国にサービスを提供を行っています。基本的には全コンテンツともグローバルで視聴可能となっています。しかし、中にはコンテンツ事業者(CP)の権利上、特定の国でしか配信されていないコンテンツも多数あります。
ユーザーとしては自国で配信されていないコンテンツを視聴したいというのが正直なところですが、権利(ライセンス)上NGであるため仕方がありません。エミー賞を受賞したことで有名なNetflixの代表作品「ハウス・オブ・カード 野望の階段」もライセンス上の関係で日本では配信されていない。
しかし、中には海外のプロキシサーバやVPN、「アンブロッカー」などを用いて自国で配信されていないコンテンツを視聴しているユーザーもいるようです。
1/14に発表した内容によると、数週間以内に上記のような方法で視聴しているユーザーをブロックすべく、対策が実施されるとのこと。すでにHuluは同様の対策を実施しているようです。
まとめ
オリジナルコンテンツ制作、技術革新と両輪を常にフル回転しているNetflix(ネットフリックス)の躍進はまだまだ続きそうです。今年はオリジナルドラマだけでなく、新エンコード技術にも注目です。
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