米ラスベガスで開催のCES 2016で、UHD Alliance(UHDアライアンス)が、主に消費者向けの4K/HDR対応認定ロゴ「Ultra HD Premium」を発表しました。現在明確な基準がない4K/HDR映像における最低限の技術仕様などに関して、業界内で求められるルールを決めています。
本認定ロゴを、CES2016にてパナソニックが発表した新型4Kテレビ「TX-65DX900」が世界で初めて取得しています。
そもそもUHD Alliance (UHDアライアンス)とは?
設立メンバーは以下の12社です。このUHD Alliance(アライアンス)が他のAllianceと大きく異なるのはメンバー構成です。一般的なAllianceは同じ業種の企業があることが多いですが、このAllianceでは、Warnerや20世紀FOXなどのハリウッド主要スタジオや、世界最大の映像配信事業者であるNetflixやパナソニックやソニーなどの大手家電メーカーが参加しています。
- DIRECTV
- Dolby
- LG
- Netflix
- パナソニック
- Samsung
- ユニバーサルスタジオ
- Sony
- Technicolor
- The Walt Disney Studios
- 20世紀フォックス
- Warner Bros. Entertainment
2015年1月に設立された、UHD Allianceは、設立メンバー12社以外にコントリビューター会員企業が35社以上がいます。
気になったのは、昨年発表時は理事メンバーにシャープが名を連ねてましたが、今見ると名前がなく、ユニバーサルスタジオが増えてました。
UHD Allianceの役割
8Kを想定した4K以上の高解像度映像や、HDR・BT.2020・3D Audioなどの次世代の映像技術の推進及び技術的な仕様策定を行うことを目的としています。また、単に技術仕様を策定するだけでなく、ハリウッドなどの映像制作現場から、配信、テレビまでの一貫とした品質確保を可能とする基準策定を想定しています。
「Ultra HD Premium」認定とは
Ultra HDプレミアム認定ロゴとは、UHD Allianceが定める4K/HDR基準に対応する4KテレビなどのディスプレイやUltra HD Blu-ray対応プレイヤー再生機器だけでなく、4K/HDRコンテンツ配信に対応する映像配信事業者に対しても同ロゴが付与されます。
ロゴを取得した対応機器同士だけでなく、このロゴを映像配信サービスと対応機器を接続すれば、UHD Alliance定める4K/HDRコンテンツの品質が確保されていることとなります。
「Ultra HD Premium」ロゴを取得するための基準
カテゴリー:デバイス(液晶)
- 画像解像度:3840×2160
- カラービット深度:10bitの信号
- カラーパレット(WGC)に対応
- 信号入力:BT.2020に準拠
- 色空間:DCI-P3が定める色空間を90%以上再現
- SMPTE ST2084のEOTFに準拠したHDRに対応していること
- ピーク輝度1,000nit以上かつ黒レベルが0.05nit以下
カテゴリー:デバイス(OLED/有機EL)
- 画像解像度:3840×2160
- カラービット深度:10bitの信号
- カラーパレット(WGC)に対応
- 信号入力:BT.2020に準拠
- 色空間:DCI-P3が定める色空間を90%以上再現
- SMPTE ST2084のEOTFに準拠したHDRに対応していること
- ピーク輝度540nit以上かつ黒レベルが0.0005nit以下
カテゴリー:ディストリビューション(インターネット配信)
- 画像解像度:3840×2160
- カラービット深度:10ビットの信号
- カラーパレット(WGC)に対応
- 信号入力:BT.2020に準拠
- SMPTE ST2084のEOTFに準拠したHDRに対応していること
カテゴリー:マスターコンテンツ
- 画像解像度:3840×2160
- カラービット深度:最小10ビットの信号
- カラー:BT.2020の色表現
- ハイダイナミックレンジ:SMPTE ST2084 EOTF
以下は推奨値であるが、マスターコンテンツを制作する際のマスターモニタ表示仕様について定義されている
- 表示再生:DCI-P3の色空間を100%再現
- ピーク輝度:1,000nit以上
- 黒レベル:0.03nit以下
「Ultra HD Premium」ロゴ認定が意味するもの
このUltra HD Premium(プレミアム)認定ロゴの狙い・目的は映像制作者の意図した映像表現が正しく表示されることです。これは特にハリウッドの主要映画スタジオが気にしているようです。むしろFHD(フルHD)から4Kへ高画質化よりも、HDR技術のような明暗表示技術に注目しているぐらいです。
今回発表された「Ultra HD Premium」はハリウッドが中心とする映像制作者の意図した映像表現を実現することが前提とされているため、認定基準は非常に高いものとなっています。液晶テレビでピーク輝度が1000nit以上となっており、今年のCES2016にて発表されたテレビの中でも、上位機種しか対応することが出来ません。また、黒レベルの基準も厳しいため、エッジバックライト方式では基準クリアが難しく、コストがかかる直下型バックライトが必要になってきます。
基準が厳しいため、エントリークラスでのロゴ取得はまだまだ先になりそうです。しかし、日本国内の各メーカーだけでなく、今回のCESではSamsungやLGも高機能(プレミアム)タイプへシフトしていくことを打ち出しており、認定対応ためにエントリークラスを含めて、高画質化へシフトしていくことが予想されます。
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